視能訓練士のやりがいと大変さ|現役ORT 5名の本音インタビュー
「視能訓練士って、実際どうなんだろう?」「やりがいはあるけど、大変なこともあるのかな?」
視能訓練士という仕事に興味を持ったり、すでに働いていて転職を考えたりする中で、こうした疑問を感じることはありませんか?求人情報やキャリアガイドには書かれていない、現場のリアルな声を聞きたいと思うのは当然のことです。
この記事では、現役の視能訓練士5名に本音インタビューを実施しました。仕事のやりがい、正直に語る大変なこと、給与への思い、そ れでも続ける理由まで、飾らないリアルな声をお届けします。視能訓練士を目指している方、転職を考えている方、同業者の方にとって、共感や発見のある内容になれば幸いです。
視能訓練士を選んだ理由
まずは、5名の視能訓練士がこの職業を選んだ理由を聞いてみました。
Aさん(眼科クリニック勤務・経験7年・29歳)
「もともと医療系の仕事に興味があって、看護師か視能訓練士かで迷っていたんです。高校生の時に進路相談で視能訓練士という職業を知って、『目の検査専門の仕事ってカッコいい!』と思ったのがきっかけです。
実際に養成校に入ってから、視機能という専門分野の奥深さに魅了されました。看護師のように幅広い分野ではなく、『目』という一つの器官に特化して極められるところが自分に合っていると感じました」
Bさん(総合病院勤務・経験5年・27歳)
「身内が緑内障で苦しんでいたのを見て、眼科医療に興味を持ちました。医師になるという選択肢もありましたが、もっと患者さんと近い距離で関われる職業がいいなと思って視能訓練士を選びました。
検査を通じて患者さんの不安を和らげたり、早期発見に貢献できたりするところに魅力を感じています。医師とは違う形で、患者さんの『見える』を支えられる仕事だと思います」
Cさん(検診センター勤務・経験3年・25歳)
「正直に言うと、最初は『国家資格があれば安定するかな』という軽い気持ちでした(笑)。でも養成校で学ぶうちに、視機能って本当に繊細で複雑で、検査一つ取っても奥が深いことを知りました。
今は検診センターで働いていますが、多くの方の健診を通じて眼疾患を早期発見できることにやりがいを感じています。『あなたの検査で異常が見つかって、早期治療できました』と言われた時は、この仕事を選んで良かったと心から思いました」
Dさん(大学病院勤務・経験10年・33歳)
「子どもの頃から理科が好きで、特に人体の仕組みに興味がありました。視覚のメカニズムって本当に不思議で、光を電気信号に変換して脳で像を認識するなんて、すごく神秘的だと思いませんか?
大学病院で働いているので、最先端の医療機器や珍しい症例に触れられます。視能訓練士としての専門性を追求できる環境で、毎日が学びの連続です。研究や学会発表にも携われるのが、この職業の大きな魅力だと思います」
Eさん(眼科クリニック勤務・経験12年・35歳)
「もともとは別の仕事をしていたのですが、20代半ばで視能訓練士を目指しました。きっかけは自分が眼科を受診した時に、視能訓練士の方がとても丁寧に検査してくれて、『私もこんな風に人の役に立ちたい』と思ったことです。
養成校を経て資格を取得し、今は子育てをしながらパートタイムで働いています。視能訓練士は女性が多い職場なので、ライフステージの変化にも柔軟に対応できるのがありがたいですね」
この仕事の最大のやりがい
5名全員に「この仕事で最もやりがいを感じる瞬間」を聞いてみました。
患者の「見える」を支える喜び
Aさん: 「白内障の手術後に『世界が明るくなった!』『こんなにクリアに見えるなんて!』と感動されている患者さんを見ると、自分も嬉しくなります。術前検査で正確なIOL度数を計算することが、患者さんの術後視力に直結するので、責任は重いですが、やりがいも大きいです」
Bさん: 「緑内障の早期発見に貢献できた時です。視野検査で初期の視野欠損を見つけて、治療を開始できたケースがあります。『あなたの検査のおかげで失明せずに済みそうです』と言われた時は、涙が出そうになりました」
専門性を活かせる充実感
Dさん: 「大学病院では、OCT-Aや電気生理学的検査など、高度な検査技術を習得できます。医師から『この検査結果のおかげで診断できた』と言われると、専門職としての誇りを感じます。
特に、珍しい疾患の診断に貢献できた時は、視能訓練士としてのスキルが患者さんの人生を変えることがあるんだと実感します」
Eさん: 「小児の斜視・弱視検査は、本当に専門性が求められる分野です。子どもの将来の視機能を守るという責任の重さを感じますが、訓練を続けた子の視力が改善していく過程を見守れるのは、この仕事ならではの喜びです」
チーム医療での貢献
Bさん: 「総合病院では、医師、看護師、他の医療スタッフとチームで患者さんを支えます。カンファレンスで検査結果を報告し、それが治療方針の決定に役立つ瞬間は、チーム医療の一員として認められている実感があります」
Dさん: 「研修医や医学生に検査技術を教える機会もあります。後輩が成長していく姿を見るのも、大きなやりがいの一つです。視能訓練士という職業の重要性を次世代に伝えていくことも、私たちの役割だと思っています」
成長を実感できる瞬間
Cさん: 「最初は単純な視力検査もうまくできなかったのに、今では眼底写真の微細な異常にも気づけるようになりました。自分のスキルが確実に向上していることを実感できるのは、この仕事の魅力です」
Aさん: 「新しい検査機器が導入される度に、勉強し直す必要がありますが、それが逆に新鮮で楽しいです。OCT-Aの撮影技術を習得した時は、『自分もまだまだ成長できる』と感じました」
正直に語る大変なこと
やりがいがある一方で、大変なことや不満もあるのが現実です。5名に本音で語ってもらいました。
業務負担と人手不足
Aさん: 「クリニックには視能訓練士が3名しかいないので、誰かが休むと残りのメンバーの負担が一気に増えます。特に花粉症シーズンは患者さんが殺到して、昼休憩も満足に取れないことがあります」
Bさん: 「総合病院では、外来、入院、救急と業務が多岐にわたり、残業が多いのが悩みです。カンファレンスや勉強会も診療時間外に開催されることが多く、プライベートの時間が削られることもあります」
Cさん: 「検診センターは基本的には定時で帰れますが、繁忙期は一日に100人以上の受診者を検査することもあり、体力的にきついです。同じ検査の繰り返しで、腰痛や肩こりに悩まされています」
給与面での不満
Aさん: 「国家資格を持っているのに、給与がそれほど高くないことには正直不満があります。クリニックでは年収400万円台前半で、同世代の友人と比べると低いなと感じることも…」
Eさん: 「パートタイムで働いているので、時給は1,500円程度です。専門職としてはもう少し評価されてもいいのではと思います。ただ、ワークライフバランスを優先している ので、給与面は我慢しているところもあります」
Dさん: 「大学病院は公務員に準じた給与体系なので、安定はしていますが、劇的な昇給は見込めません。同じ専門職でも、医療機器メーカーに転職した同期は年収600万円を超えていると聞くと、少し羨ましく思うこともあります」
キャリアの頭打ち感
Aさん: 「クリニックでは、主任になっても給与があまり変わらず、キャリアの先が見えにくいです。視能訓練士としてのスキルは磨けますが、管理職としてのキャリアパスが明確でないのが悩みです」
Eさん: 「視能訓練士の資格だけでは、キャリアの選択肢が限られるのも事実です。もっと専門性を高めるために、他の資格取得を考えることもあります」
患者対応のストレス
Bさん: 「患者さんの中には、検査結果に納得せず、クレームをつけてくる方もいます。『視野検査の結果が悪いのは、あなたの説明が悪かったからだ』と言われた時は、正直つらかったです」
Cさん: 「健診では、検査を嫌がる方や、態度が横柄な方もいます。短時間で多数の受診者を対応しなければならないプレッシャーと、コミュニケーションのストレスが重なると、精神的に疲れます」
Aさん: 「小児の検査は特に大変です。泣いて暴れる子もいれば、じっとしていられない子もいます。保護者の方も不安でピリピリしていることが多く、気を遣います」
それでも続ける理由
大変なことも多い中、それでも視能訓練士を続ける理由を聞いてみました。
専門職としての誇り
Dさん: 「視能訓練士は、眼科医療に欠かせない専門職です。私たちの検査結果がなければ、正確な診断も適切な治療もできません。その責任の重さと同時に、専門職としての誇りを感じています」
Bさん: 「視野検査やOCT検査など、視能訓練士にしかできない専門的な仕事があります。医師や看護師とは違う形で、患者さんの『見える』を支えられることに、やりがいと誇りを感じています」
患者からの感謝
Aさん: 「『あなたのおかげで安心できました』『丁寧に検査してくれてありがとう』と患者さんから感謝の言葉をもらえることが、一番の励みです。給与や待遇に不満があっても、この言葉があるから続けられます」
Cさん: 「健診で眼底出血を見つけて、精密検査を勧めたところ、早期の糖尿病網膜症が発覚したケースがありました。『あなたの検査で視力を守れました』と後日お礼を言われた時は、この仕事を選んで本当に良かったと思いました」
成長し続けられる環境
Dさん: 「眼科医療は日々進化しています。新しい検査機器や技術が次々と登場するので、常に学び続ける必要があります。大変ですが、それが逆に刺激的で、飽きることがありません」
Aさん: 「学会や勉強会に参加すると、同じ視能訓練士の仲間と交流でき、新しい知識や技術を学べます。視能訓練士としてのスキルを磨き続けられる環境があるから、モチベーションを保てています」
ワークライフバランス
Eさん: 「子育てをしながら働ける職場環境は、本当にありがたいです。視能訓練士は女性が多い職業なので、職場の理解も得やすく、時短勤務やパートタイムでも働けます」
Cさん: 「検診センターは残業がほとんどなく、土日祝日が休みなので、プライベートの時間を大切にできます。友人や家族との予定も立てやすく、仕事と生活のバランスが取れています」
これから視能訓練士を目指す人へのメッセージ
最後に、5名から視能訓練士を目指す方へのメッセージをもらいました。
Aさん: 「視能訓練士は、やりがいのある素晴らしい仕事です。給与面での不満はありますが、専門性を活かして患者さんの役に立てる充実感は何物にも代えがたいです。『目』に興味がある方、患者さんと関わる仕事がしたい方には、ぜひおすすめしたい職業です」
Bさん: 「大変なことも多いですが、それ以上にやりがいがあります。特に、最先端の医療技術に触れたい方、専門性を極めたい方には最適な仕事です。視能訓練士は、これからますます需要が高まる職業だと思います」
Cさん: 「『国家資格で安定したい』という動機で選んでも全然OKだと思います。実際に働いてみると、この仕事の魅力に気づくはずです。ワークライフバランスを重視したい方にも、視能訓練士は良い選択肢だと思いますよ」
Dさん: 「視機能という専門分野は、本当に奥が深く、一生学び続けられます。研究や学会発表に興味がある方、教育に携わりたい方にとっても、視能訓練士は魅力的なキャリアです。ぜひ、一緒に眼科医療を支えていきましょう」
Eさん: 「女性にとって、長く続けられる職業だと思います。ライフステージが変わっても、資格があれば復帰しやすいですし、パートタイムや時短勤務など、柔軟な働き方ができます。子育てと仕事を両立したい方にもおすすめです」
まとめ
現役視能訓練士5名の本音インタビューを通じて、この仕事のリアルな姿が見えてきました。やりがいも大変さも、どちらも本当の姿です。
この記事のポイント
・視能訓練士を選んだ理由は様々だが、専門性への魅力や患者への貢献が共通
・患者の「見える」を支える喜び、専門職としての誇りが最大のやりがい
・業務負担、給与面、キャリアパスに関する不満や課題も存在
・それでも続ける理由は、患者からの感謝、成長できる環境、ワークライフバランス
・これから目指す人へ:大変なこともあるが、それ以上にやりがいのある仕事
視能訓練士という仕事には、光と影の両面があります。しかし、5名全員が共通して語ったのは、「大変なことはあるけれど、それ以上にやりがいがある」ということでした。
視能訓練士を目指している方は、この記事を参考に、自分がこの仕事に何を求めるのかを考えてみてください。すでに視能訓練士として働いている方は、同業者の声に共感したり、新たな視点を得たりできたでしょうか。
どんな仕事にも、やりがいと大変さがあります。大切なのは、自分が何を優先し、何にやりがいを感じるかを見つめ直すことです。この記事が、あなたのキャリアを考えるきっかけになれば幸いです。